ワグネリアン、皐月賞は「ダービー戴冠へ向けた調整」説は本当なのか (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 それが、2戦目の野路菊Sで1頭だけいい脚を使って快勝すると、評価は一変。「ホンマに走るんかなぁ」と半信半疑だった福永騎手も、「この馬、見直した。走る」とかなりの手応えを口にした。

 翌春のクラシックを意識するようになったのも、この頃からだった。そして、続く3戦目は果敢に東上。東スポ杯2歳Sに挑戦した。

 ワグネリアンは、そこでも難敵相手に完勝した。クラシック本番へ、余裕を持って臨めるだけの賞金も加算。急上昇中だった周囲の評価と期待に、見事に応えた。

 ここまでは、まさしく順調そのものだった。

 それだけに、陣営にとって弥生賞は誤算だった。

 スムーズさを欠いた走りはもちろんのこと、たっぷりと休養をとったにもかかわらず、前走比マイナス4kgと馬体面での成長も一切見られなかったからだ。

 ワグネリアンにとって、初めての試練。はたして、巻き返しはあるのだろうか。専門紙記者が再び語る。

「陣営としても、前走の結果から皐月賞は『何が何でも勝たなければ......』というレースではなくなった。おそらく、そこにピークを持ってくるような仕上げはしてこないでしょう。とすれば、終(しま)いの脚だけで、ある程度上位には来ると思いますけど、正直、勝ち負けは難しいと思います。

 ともあれ、もともと厩舎もジョッキーも、春の最大目標は日本ダービー(5月27日/東京・芝2400m)に置いていました。そういう意味では、そこまでに立て直しを図る時間ができたわけですから、かえってよかったのかもしれません。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る