安藤勝己はあの馬を切った。皐月賞、ダービーを読む「3歳牡馬番付」 (5ページ目)

  • 新山藍朗●取材・構成 text by Niiyama Airo
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

前頭筆頭:エポカドーロ(牡3歳)
(父オルフェーヴル/戦績:4戦2勝、2着1回、3着1回)

 スプリングSはハナ差で負けたけど、この馬もよく踏ん張った。勝ったステルヴィオに並ばれてからも、あっさりとかわされることなく、最後までしぶとく粘っていた。あの"しぶとさ"は捨て難い。

 それに、この馬の場合は"前で競馬ができる"という強みがある。切れ味勝負という有力馬が多い分、後ろでけん制し合って、結果"前が恵まれる"ということが競馬ではしばしばあるからね。

 そうした展開の利がなかったとしても、この馬は並の逃げ馬じゃない。スプリングSの前、あすなろ賞(2月10日/小倉・芝2000m)が圧巻だった。道中、他の馬に絡まれて楽な展開ではなかったものの、最後は後続に3馬身半差をつけて逃げ切り勝ちを収めた。

 スプリングSにしても、ペース的にはそれほど恵まれた展開ではなかった。それでも、あれだけの競馬ができたのだから、逃げ、先行有利と言われる皐月賞がスローな流れになったら、一番面白いのはこの馬。無論、ダービーだってわからない。展開の利はあるし、しぶとい馬ほど距離をこなせるからね。

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 この他で気になる馬を挙げるとすれば、グレイル(牡3歳/父ハーツクライ)とオブセッション(牡3歳/父ディープインパクト)。

 グレイルは馬体が薄くて、ひ弱そうな馬だから「こんなんで走るの?」と思っていたら、デビュー戦、2戦目の京都2歳S(2017年11月25日/京都・芝2000m)と強い勝ち方をした。その結果を見て、「今年はこれやな」と思ったんだけど、前走の共同通信杯(2月11日/東京・芝1800m)で惨敗(7着)。まだ成長途上ということなんだろうね。

 オブセッションにも同じことが言える。デビュー2戦目のシクラメン賞(2017年12月2日/阪神・芝1800m)では、ふらふら走りながらも、すごい時計で2連勝を飾った。ゆえに、弥生賞ではこの馬を本命にしようかと考えたくらい。ところが、こちらも弥生賞では気の悪さを見せて惨敗(7着)を喫してしまった。

 ただ、どちらも素質は一級品。この春に間に合うかどうかは微妙なところだけど、先々走ってくるのは間違いないと思う。そういう意味で、まだ見限るのは早いかな、と。

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