ドバイの4競走で「万馬券の油田」を掘り当てる日本調教馬はどれだ? (2ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 ドバイのダート短距離は日本調教にとって凱旋門賞以上に厳しい条件で、ダート重賞の出走すらないマテラスカイは厳しい戦いになると見られている。何しろ相手は、過去にこのレースを制した馬が3頭、2着になった馬が1頭、昨年のブリーダーズカップ(BC)スプリント(デルマー・ダート1200m)の勝ち馬もいて、かなり強力だ。是が非でも先行したい馬もそろい、10頭立てながら厳しい流れになることが容易に予想できる。

 ところが、意外なところからマテラスカイを警戒する声が聞こえてきた。BCスプリントの勝ち馬で3連勝中のロイエイチ(せん6歳)を管理するピーター・ミラー調教師だ。

「あの馬は父がスパイツタウンでアメリカの生産馬。だから、本質的にはアメリカの馬で、日本でなかなか勝ち上がれなかったのは仕方がない。むしろ、アメリカ流のスピードの血を持っているはずで、アメリカのダートと似ているこのコースで本領を発揮するかもしれないよ」

 ロイエイチは逃げ馬の直後を追走する脚質で、「レースではマテラスカイがキーになる。枠順次第では、あの馬を目標にレースをするかもね」と具体的なプランを示したことからも、ただのリップサービスとは考えにくい。

 続いて行なわれるドバイターフには、出走馬15頭中、なんと5頭も日本調教馬が出走する。逃げ、先行、差し、自在の脚質の馬がそろい、しかも、このうちの2頭が過去のこのレースの勝ち馬とあって、期待が高まらないわけがない。

 このレースでのひとつのポイントとなりそうなのは、登録時に繰り広げられたジョッキーを巡る駆け引きだ。日本調教馬の中で、もっとも早く騎乗予定騎手を明らかにしたのは、一昨年の勝ち馬リアルスティール(牡6歳)で、欧州の名手ランフランコ・デットーリ騎手をブッキングしたと早くから報道された。ところがレース半月前に、追加選出されたイギリスのモナークスグレン(せん4歳)にデットーリ騎手が騎乗することとなり、鞍上が空白となってしまったのである。

 その後、消息筋によると、オーナーのサンデーサラブレッドクラブと縁が深いクリストフ・スミヨン騎手などから売り込みもあったようだが、最終的にミカエル・バルザローナ騎手に決定。バルザローナ騎手といえば、フランスにおけるゴドルフィンの主戦で、このレースにも4頭のゴドルフィン所有馬が出走するのにこれに騎乗せず、一方でゴドルフィンのレシュラー(牡4歳)にはスミヨン騎手が騎乗するというややこしい状況となった。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る