スプリングSはステルヴィオにあらず。怪物息子に「奇跡の春」がくる (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Yamane Eiichi /AFLO

 父はGI香港スプリントを連覇し、GI6勝を挙げた名スプリンター、ロードカナロア。現3歳が初年度産駒の新種牡馬で、昨年は新種牡馬チャンピオンに輝いた。年が明けてからはアーモンドアイがGIIIシンザン記念(京都・芝1600m)を、アンフィトリテがOPマーガレットS(阪神・芝1200m)を勝利するなど、産駒の好成績が続いている。

 産駒の芝の距離別成績を見ると、全46勝中約46%の21勝が1600m。勝率も22.8%と高い。以下、1400mが12勝、1200mが10勝で、全体の約96%にあたる44勝が1600m以下となっている。1800mでは2勝で、勝率は8.7%と、1800mを超えると明らかに成績が落ちている。ちなみに2000mは17戦して2着2回の未勝利だ。

 ステルヴィオはコスモス賞で1800m戦を勝利しているが、2歳8月と早い時期のレースなので強い相手も揃わず、距離適性ではなく完成度と絶対能力の高さで勝ったレースと言える。この時期になり、皐月賞を目指す馬と、直線に急坂のある中山のタフなコースで対戦するのは意味合いが大きく異なってくるだろう。脚質的に後方からレースを進めるタイプで、中山コース向きでないこともあり、スンナリと勝利を飾るのは簡単なことではないと見ている。

 そこで筆者が狙いたいのはエポカドーロ(牡3歳・藤原英昭厩舎)だ。昨年10月の新馬戦(京都・芝1800m)は3着と敗れたが、約3カ月ぶりの2戦目(1月21日/京都・芝1600m)を逃げ切って初勝利。続くあすなろ賞(2月10日/小倉・芝2000m)でも軽快にハナを奪い、2着以下に3馬身半差をつける完勝で2連勝を果たしている。

 父はクラシック三冠馬オルフェーヴル。先述のロードカナロアとは同い年で、同じ年に種牡馬入りし、オルフェーヴルは最優秀2歳牝馬ラッキーライラックを出した。現役時代、オルフェーヴルはクラシック~中長距離戦線、ロードカナロアは短距離~マイル戦線を進み、相まみえることはなかったが、産駒同士はこうして同じレースで戦っていく。種牡馬としてはライバル同士になっていくわけで、このように父馬の経歴を踏まえながら競馬を見ると面白いものである。

 エポカドーロの母ダイワパッションはGIIフィリーズレビュー(阪神・芝1400m)、GIIIフェアリーS(中山・芝1200m)の勝ち馬。2歳秋から重賞2勝を含む4連勝を果たしたが、その後勝利を挙げることはなかった。

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