3年目の藤田菜七子ジョッキーが好調なので、理由を聞きにいってみた (4ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu  photo by Sportiva

――効果として、動きがよくなったとか、癖がなくなったなど実感はありますか?

「私は右利きなので右のほうが強かったんですけど、トレーナーさんに見てもらって、身体の傾きなどを指摘してもらいながらトレーニングをしていたので、バランスがよくなってきているのかなと思います。自分のフォームでも、デビュー当時と今と意識の面では変わらないのですが、その中でも少しずつ姿勢は変わっているのかなと思いますし、よくしていこうとも思っています」

――デビュー年より、差し・追い込みがきれいに決まることが多くなったように感じます。それも周りが見えるようになったこと、フィジカルが強くなったことと無関係ではないのでは?

「『この馬に何が一番いいのか』というのを意識した結果で、後ろからという競馬があってだとは思いますし、展開がはまったというのもあります。減量を活かしつつ、馬の特性を考えて活かしてあげられればいいなと思っています」

――藤田騎手の身体的な強みのひとつに、手足が長いことがあると思います。デビュー当時はそれが活かしきれていなかったのが、最近はきれいに使い切れているし、特にパトロールフィルムなどで正面から見ると、すごく格好よくなったなという印象を受けます。同時に、以前はひと目で「藤田騎手だ」と判ってしまう、言い方は悪いですが「浮いて」見えていたんですが、最近はそれがなくなって、いい意味でどれが藤田騎手かちょっと判りにくくなってきた気がします。

「何人かの方からも同じようなことを言っていただいて、そう言っていただけるのは、成長できて『いっぱし』になっているのかなと思えてありがたいです。次のステップとしては、『あのジョッキー巧いな』と思われるぐらいに技術を上げていきたいですし、そういう乗り方をできたらいいなと」

――以前お話を聞いたときは、横山典弘騎手の乗り方を格好いいとおっしゃってました。

「横山騎手だけにこだわるのではなく、どの騎手もすごいなと思ったりすることがあるので、いいところをいろいろ取り入れていきたいですね。

最近、シンプルにすごいなと思ったのが、昨年の東京大賞典でのコパノリッキーの田辺(裕信)騎手ですね。スタートから(気合いをつけて)ゲートを出していってハナに立ったんですけど、私だったら『逃げるなら少しでもペースを落として楽をしたい』と思ってガッツリと抑えてしまうところを、すーっと結構楽に乗っていて、しかもそのまま強い競馬で勝ってしまうというのがすごいな、と。抑えるのではなく、馬のリズムで走らせてあげることで、馬も最後まで頑張れるというのがこういうことなんだなと」

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