3年目の藤田菜七子ジョッキーが好調なので、理由を聞きにいってみた (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu  photo by Sportiva

――結果は9着。序盤でちょっと接触する場面があって、それで思ったような競馬ができなかったかな、と思いましたが。

「前めの位置を取りにいきたかったんで、出していったぶん馬もやる気になっていて、そこで横の馬と少し当たってから、チグハグになってしまったのもあってもったいなかったです。もっとこうすれば、という部分はあるんですが、これを次に活かすことが乗せてくださったことへのお礼になると思います」

――今のお話の中にもその姿勢が伺えましたが、デビュー年と比べて、昨年からの藤田騎手の騎乗にアグレッシブさを感じます。もちろん、最初から意識していたとは思いますが。

「まず、自分のアドバンテージとして3kgの減量があるので、これを(見習い騎手のネガティブな格付けとしてではなく)メリットとして前向きにとらえて、もっと積極的に競馬の中で動くべきという意識はデビューした年よりもありますし、その意識を具体的に騎乗でも表すようになっているとは思います」

――そういう意味では、レースの中でも"チャレンジしている"と見ている側にも伝わってきます。印象的だったのが昨年1月にマカオの招待競走で遠征した際に、日本ではそれまであまり見せなかったような、インを狙って突いて、着順をひとつでも押し上げにいったシーンで、進路取りひとつをとっても"攻めよう"という姿勢を感じました。

「私の中では、レースごとに馬の全能力を出し切るように心掛けているので、進路がなくなって脚を余して負けるのが一番イヤだなと思っています。そうなると、インを突くということ自体はリスクがありますし、馬を伸び伸び走らせてあげるためにも、(差し、追い込み策で)後ろから行くときは外に出したいと思っていたんです。けれど、インでも進路を見つけておけば、詰まったりはしませんし、そういう意味でも"挑戦"という気持ちは持つようになりました。

――昨年は固め撃ちの時期があったり、逆に勝利まで間が空くときもあったりしながら、最終的にはJRAの女性騎手として年間最多勝である12勝を10月に更新、そこからさらに2勝を上積みしました。記録を更新してからは勝つごとに藤田騎手が"新記録"を更新することになったわけですが。

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