有馬記念のキタサンは過剰人気。「ヒモ穴」ルージュバックが賢い作戦だ (2ページ目)

 続くジャパンカップですが、昨年は1000m通過が61秒7と、世界的な高額賞金レースとしては考えられないようなスローペースとなり、キタサンブラックが快勝しました。しかし今年は、1000m通過が60秒2。それでも速いとは思いませんが、ある程度流れたことで結果は変わって、キタサンブラックは3着にとどまりました。

 もちろん、極悪馬場で激走した疲れもあったかもしれませんが、「1強」と称されるような強い馬であれば、それでも勝つのだと思います。

 だからといって、「弱い」と言っているわけではありません。ラストランを勝利で飾る可能性は大いにあると思っています。ファンの多い馬ですから、勝ったほうが喜ぶ方も多いだろうし、感動的なフィナーレとなるでしょう。そんなことを思えば、応援したい気持ちは十分にあります。

 しかしながら、キタサンブラックは過剰人気になるでしょうから、その分、他の馬のオッズは高くなるわけです。馬券的な旨味を考えると、他の馬に食指が動いてしまいますよね。

 ライバル視されているのは、まずはジャパンカップでキタサンブラックを破ったシュヴァルグラン(牡5歳)。この馬もまた、オーナーが"大魔神"こと佐々木主浩氏ということもあって、人気のある馬です。

 ただ不思議と佐々木氏が持つ馬は、ヴィルシーナやヴィブロス、そしてシュヴァルグランも、GIを勝つときは意外と過剰人気にならないことが多いんですよね。そして今回も、ジャパンカップを制した直後のわりには、人気にならない雰囲気となっています。

 ジャパンカップが初のGI制覇であること、また同レースではキタサンブラックにマイナス要素が多かったことで、再び逆転するのは難しい、と見られているのでしょうか。

 確かに前走のジャパンカップでは、シュヴァルグランは枠順もよく、展開もドンピシャで恵まれた部分は多かったと思います。しかし、恵まれたから勝った、ということではありません。それまでも、不運があって勝てなかったことが多々ありましたから。

 それこそ、3着に敗れた昨年のジャパンカップはそのいい例です。大外枠によるコースロスが大きく、内容的には勝ったキタサンブラックと遜色なかったと思います。

 そう、この2頭は枠順や流れひとつで勝敗が分かれるほどの、差のない存在だと、僕は見ています。

 そんな2頭を脅(おびや)かす馬はいるのか......。

 期待がかかるのは、スワーヴリチャード(牡3歳)でしょうね。

 ジャパンカップでは、今年のダービー馬レイデオロが前述2頭に割って入ってきました。そのダービーでレイデオロに迫ったのが、スワーヴリチャード。前走のアルゼンチン共和国杯(1着。11月5日/東京・芝2500m)を見る限り、レイデオロ同様、夏を越して大きく成長したようですし、大仕事をやってのけても不思議ではありません。

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