ミッキークイーンが秘める「幻のトップギア」。有馬記念で炸裂するか (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

「この馬は過去に2度、左前脚の故障で数カ月の休養を余儀なくされています。特に昨年、最初に発症したときの症状が重くて、調教師が『(あのときは)引退も覚悟した』とまで言っています。

 そして、今年もまた同じ箇所をやってしまいました。だから、稽古も坂路でしかできなくて、常に脚もとに不安を抱えながらレースで走っているわけですよ。

 勝負どころで"おかれる"というのも、そうせざるを得ないんじゃないですかね。そこでハードに仕掛けようとすれば、また故障してしまうんじゃないか、という不安を抱えている。そんな気がします」

 ミッキークイーンはテンに速い脚がないため、道中でなかなかいい位置を取れない。しかも、後方からの仕掛けにおいては、いつも他馬より一歩遅れてしまう。結果として、最後の直線は馬群の外からしか追い込めない。

 翻(ひるがえ)って、有馬記念の舞台となる中山コースは小回りで先行有利。そのうえ、器用さが求められ、追い込むにしても、直線を迎えたときにはある程度の位置にいなければ勝機はないとされている。

 ミッキークイーンと有馬記念のプロフィールは、まったくかみ合わない。いわば、水と油のような関係である。これでは、どう考えても勝ち目がない。

 だが、先の専門紙記者は「それでも可能性はゼロではない」という。

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