手前を替えろ、スワーヴリチャード!
それなら有馬記念で古馬に勝てる

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 ダービーのあとは、北海道で休養に入った。しかしその後、復帰は予定よりも遅れた。春の疲れがなかなか抜けなかったからだ。「左右のバランスに偏りがある馬なので、片方に負荷が蓄積していたのかもしれません」と鈴木氏は話す。

 このため、クラシック最終戦のGI菊花賞(10月22日/京都・芝3000m)はパスして、11月のアルゼンチン共和国杯で復帰した。菊の舞台は踏めなかったものの、馬本位で休養を長めにとったことが、大きな成果につながった。

 アルゼンチン共和国杯で見せた圧勝劇がその証明だ。歴戦の古馬を相手に難なく抜け出すと、鞭をほとんど使わず後続に2馬身半の差をつけた。

 間近で見た馬の姿からも、その成長は感じ取れたと鈴木氏は言う。

「アルゼンチン共和国杯の前、栗東トレセンでスワーヴリチャードを見たとき、体がひと回り大きくなっていることを感じて、走る際の首の使い方もよくなっていました。レース後、しがらきに来てからも(春から比べると)本当によくなっていて、精神的にもすごく大人になっていたんです」

 この成長は、一戦級の古馬に挑む有馬記念では大きな武器になる。だが、栄冠を手にするためには、あくまでも右回りの舞台を克服しなければならない。

 その点について、鈴木氏はどう見ているのか。

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