女王を「穴」扱いと侮るな。ジャパンCはソウルスターリングに要注意 (2ページ目)

 レースの格が上がれば上がるほど、乗っている騎手たちは自ら動きにくくなるもの。無理にハナを奪ったり、あるいは早めに仕掛けたり、ということを躊躇します。自ら動いてしまうことによって、東京競馬場の最後の長い直線で脚が鈍ってしまうのではないか、と考えてしまうからです。ビッグレースに出走するほどの馬に騎乗させてもらいながら、そんなリスクを負いたくない、というのは誰しもが抱く心理でしょう。

 そうはいっても、明らかに流れが遅いとわかれば、誰かが動きます。しかし、武豊騎手はそこで絶妙な、周りの動きを止めてしまうような流れを作り上げました。昨年のジャパンカップでは、すべての騎手がこの"ユタカ・マジック"にはまったということです。

 距離適性で勝る天皇賞・春(4月30日/京都・芝3200m)や、馬場適性を生かした天皇賞・秋(10月29日)での勝利は別にして、キタサンブラックは自分の形でレースを進めることができれば、相当な強さを発揮します。今回も、それが実現できるかどうかが、大きなカギとなります。

 ただし、今回は外国馬に強い逃げ馬が存在します。ドイツのギニョール(牡5歳)です。

 ドイツ競馬というと、全体的なレベルには「?」がつきますが、それでもGI通算3勝は立派。鞍上も、ドイツのトップジョッキーであるフィリップ・ミナリク騎手が務め、侮れません。

 しかも、同馬は褒賞金対象()となるバーデン大賞を勝っています。共同会見では「(位置取りは)日本のペースでは4、5番手」と言っていたようですが、本気度合いも感じますし、キタサンブラックにとっては、この馬の出方が気になるところです。
※同一年にJRAが指定した諸外国の大レースを制している外国馬は、ジャパンカップの結果によって追加の褒賞金が得られる。優勝した場合、200万ドル(約2億2000万円)。

 また、前走の天皇賞・秋は極悪馬場のレースでした。それも、ゴール前までびっしりと叩き合っていました。キタサンブラックには、この反動があるのか、ないのか、そこも気になります。有力馬の1頭ですが、決して安泰とは言えないかもしれませんね。

 前走の反動が気になると言えば、天皇賞・秋でキタサンブラックと叩き合って2着となったサトノクラウン(牡5歳)も同様です。実際、前走を終えたあと、ここに向けての調整過程において立ち上げが少し遅かったような気がします。その点は引っかかりますね。

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