マイルCSだから侮れぬ「夏のマイル王」。
有力GI馬勢に肉薄あるぞ

 先述したとおり、近年は好走することすら稀(まれ)です。春には安田記念を制していた2011年のリアルインパクト(5着)、NHKマイルCの覇者として臨んだ2014年のミッキーアイル(13着)は、ともに1番人気に支持されながら完敗。その他、マイルGIをふたつ制していた2011年のグランプリボス(13着)、桜花賞馬のマルセリーナ(2011年/6着)やレッツゴードンキ(2015年/6着)らもことごとく敗れています。

 さすがに極限のスピードと決め手が要求されるマイルのGIともなると、まだ成長途上の3歳馬には過酷な舞台であり、厳しい戦いを強いられてしまうのでしょう。

 そうなると、中心視すべきはやはり古馬。なかでも、春のGI安田記念(6月4日/東京・芝1600m)で悲願のGI制覇を遂げたサトノアラジン(牡6歳)が有力です。前走の天皇賞・秋(10月29日/東京・芝2000m)で最下位に敗れたとはいえ、それだけで評価を落とすことはできません。

 能力に関しては、改めて語る必要はないでしょう。とにかく、鋭い決め手の持ち主で、驚くような末脚には目を見張るものがあります。

 それゆえ、前走のような極悪馬場では、この馬の武器は完全に消されてしまいました。結果、持ち味を出せずに最下位、それも勝ち馬から8秒6も離されての入線となりましたが、これはおそらく無理をさせなかったからでしょう。そういう意味では今回、反動を心配する必要がありません。

 6歳馬ですが、その実力は衰えるどころか、気性的なことを考えれば、今がピーク。昨年(5着)も不利さえなければ......と思わせる内容でした。陣営としても、今年にかける思いは強いはずです。

 昨年2着のイスラボニータ(牡6歳)も、陣営のここにかける意気込みは相当なものでしょう。

 それは、昨年も同様でした。天皇賞・秋には目もくれず、富士S(東京・芝1600m)からマイルCSという万全のローテーションで臨んできましたからね。そこから「なんとしても勝たせたい」という陣営の思いが伝わってきました。

 結果はわずかの差で2着。この雪辱を果たすため、今年も同じローテーションで必勝を期して挑んできます。鞍上も同じルメール騎手。彼自身、期するところはあるでしょう。

 サトノアラジンとイスラボニータは、出走馬中4頭しかいないGI馬のうちの2頭。この実績どおりに決着する可能性は十分にあると見ています。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る