今年そっくりな9年前の菊花賞から
「とてつもない穴馬」が見えてきた

  • text by Sportiva
  • 三浦晃一●撮影 photo by Miura Koichi

 クリノヤマトノオーも、5月にオープン特別の白百合S(2着。5月27日/京都・芝1800m)に出走。トリコロールブルーと同じくその後は休養に入って、9月の500万条件を快勝すると、前走の1000万条件・清滝特別(10月8日/京都・芝1800m)でも連勝を飾って、大一番へと駒を進めてきた。

 2頭とも、春の時点ではトップクラスに及ばなかったものの、ひと夏越して力をつけて戻ってきた。その勢いは、過去の歴史を見ても大きな武器となる。また、春にトップクラスと戦ってきた経験も、長丁場の特殊なレースで生かされるはず。この上がり馬2頭の大駆けがあっても不思議ではない。

 ところで、過去10年の菊花賞を今一度振り返ってみると、「今年と似ているのではないか」という年がある。オウケンブルースリが勝った2008年である。

 この年も、ダービー馬ディープスカイが神戸新聞杯を快勝したあと、今年のレイデオロと同じように古馬GI戦線へ。ダービー3着で、神戸新聞杯でも2着と力を示したブラックシェルは、故障して菊花賞を回避した。さらに同年の皐月賞馬キャプテントゥーレも、同レース後に故障して戦列を離れていた。

 その他、春のクラシック上位組は休養後の状態が今ひとつだったり、血統的な不安を囁かれたりしていた。代わって、押し出されるようにして1番人気となったのが、オウケンブルースリだった。

 同馬は、夏の条件戦を連勝。神戸新聞杯で3着に入って、菊花賞出走の権利をつかんだ。春のクラシックには出ていないものの、春の実績馬が不在の中、夏の上がり馬で、神戸新聞杯でダービー馬らと接戦を演じたことが評価されての1番人気だった。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る