渡仏した小林智調教師が語る「フランス競馬界の日本へのリスペクト」 (5ページ目)

  • 小川由紀子●文・写真 text & photo by Ogawa Yukiko

――振り返ってみて、いまの自分があるのは何が大きいと思いますか?

小林 最初の一歩を踏み出したこともそうですが、その後も、前に進む気がないと、どこに行ってもダメだと思うので、そこじゃないかと思いますね。まだまだ行きます! まずは重賞で勝つことが目標ですね。

――フランスで日本人調教師として厩舎を開業するという前人未到の偉業を実現したわけですが、自分が「パイオニア」であるという自負はありますか?

小林 一番だからやってやろう、というのはありました。逆に1人目じゃなかったらやらなかったです。1人目であるということのアドバンテージはやはりありますから。

――ふだんの生活スケジュールを教えてください。

小林 朝は6時から仕事で12時半くらいまで調教します。午後は4時から6時くらいまで、馬房掃除とエサ付けや治療です。調教スケジュールは夜のうちに準備するときもあれば、朝行ってやるときもあります。レースは週にだいたい3日くらいですね。

 日曜は原則的には休み、ということにしていて、出勤したスタッフには休日手当を支給しています。でも、僕は毎週出ています。月曜にもレースがあったりするので、その馬には乗らないといけないですから。

 7歳と2歳の子供がいますが、朝も早いし帰ったら寝ているときもあるので、会えないときも多いですね。でも、子供の顔が見たくてなるべく早く帰るようにはしています。

――前に、「好きなことをやっているので下積み時代からつらいと感じたことはない」とおっしゃっていましたが。

小林 毎日楽しいです。趣味が仕事のようなものですから。自分のしたい仕事をしている人は、世の中にひと握りしかいないと思うんです。でも、そうでない人でも実はしたい仕事ができたかもしれない。自分のしたい仕事をできているということは幸せと思わなくては、と僕はいつも思っています。「好きこそものの上手なれ」です。

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