アエロリットは、秋華賞の「SS系優位」ジンクスを打ち破れる名牝か (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki  photo by AFLO

 アエロリットの評価を大きく高めたのはNHKマイルCよりも前走のクイーンSだろう。内枠を活かしてハナを奪うと、後続を離した逃げをうち、軽快に飛ばして2着トーセンビクトリーに2馬身半差をつけ、1分45秒7の好タイムで逃げ切ったのだ。今年のGIヴィクトリアマイルを勝ったアドマイヤリードなど強敵が揃ったメンバーでのこの走りは、秋のGI戦線での好走を期待させるに十分なものだった。

 ただ、アエロリットにも懸念材料はある。ひとつずつ見ていこう。

 まずはレース間隔。今回はクイーンSから中10週となるが、本馬と同様に10週以上のレース間隔で出走した馬は過去に56頭いたものの、勝ったのは3頭のみで、2着1回、3着3回というデータが残っている。勝った3頭はオークス以来の2001年テイエムオーシャン(中20週)、2006年カワカミプリンセス(中20週)、NHKマイルC以来のファビラスラフイン(中22週)の3頭。テイエムオーシャンは桜花賞などGI2勝で、カワカミプリンセスは4戦4勝のオークス馬。ファビラスラフインはデビューからGIIニュージーランドTまで3連勝、NHKマイルCで1番人気(14着)に推されていた馬であり、いずれもかなりの実力馬だった。

 アエロリットも既にGIを勝利し、古馬相手に強い競馬を見せており、この3頭と同クラスと言えるので、今回のレース間隔はそれほどマイナス材料と捉えなくてもよさそうだ。ちなみにクイーンS勝ち馬では、2011年アヴェンチュラがこのレースも勝っている。ただ、当時のレース間隔は約2カ月(中8週)と、今年とは少し事情が異なっていた。

 続いては脚質。前走は初めて逃げる形になって強い勝ち方を見せたので、今回はどのような戦法をとるかが注目される。相手関係を見ると、ここ4戦続けて逃げていて、前走のGIIローズS(9月17日/阪神・1800m)でも2着に粘ったカワキタエンカがいるので、この馬が逃げると思われるが、枠順やカワキタエンカの出方次第ではアエロリットが逃げる可能性もあるだろう。

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