秋華賞に挑むラビットラン。ローズSを快勝した強さは「本物」か (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 そうして、休み明けで挑んだのが、前々走の500万条件(7月22日/中京・芝1600m)だった。最後方から上がり33秒0の決め手を繰り出して快勝。古馬相手に圧巻の勝利を飾ったが、先述の専門紙記者が語ったように、多くのファンも、関係者も、この勝利が本格化のサインとはとらえなかった。

「半信半疑」だったのである。その理由は、ひとつは成績が安定していないこと。そしてもうひとつは、血統面だった。

 父タピット、母の父ディキシーランドバンド。父系も、母系もバリバリのダート血統で、この血統からダートの最強クラスは生まれても、芝の一流馬が出てくるとは、皆、にわかに信じられなかったのだ。

 それでも、前々走から主戦となった和田竜二騎手は、この馬の「乗り味が素晴らしい」としきりにほめていたという。専門紙記者が再び語る。

「一般的に『乗り味がいい』馬というのは芝を走る馬で、筋肉モリモリのダート馬がこんなふうにほめられることはあまりありません。それでも皆、このダート血統で『乗り味がいい』なんて、なかなか信じられなくて......。話半分という感じで聞いていたんですが、ローズSの結果を受けて、誰もが『本当にそうだったんだ』っていうことがわかりましたね」

 ローズSでの"激走サイン"は、いくつかの場面で出ていたのだ。しかし、それを頭から信じるわけにはいかなかった。信じることを躊躇させるようなデータが強力にあったからだ。

 何はともあれ、どうやらラビットランがローズSで見せた強さは本物らしい。

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