凱旋門賞のサトノダイヤモンドに課題続出。ノブレスよ、アシスト頼む (2ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 フォワ賞での敗戦のあと、息づかいの悪さと、日本ではあり得ないような重馬場を敗因であると分析した。馬場への適性は先天的な要因も大きいため、ここからどうにかできるものではない。ならば、自身の状態だけでも100%に近づけることを最優先としたのは、当然の選択だろう。休み明けをひと叩きしたことで、あとは自然と上昇カーブを描くはずだった。

 ところが、息づかいの悪さは、単に休み明けの調整不足によるものではなかった。むしろ調整自体は十分足りていたにもかかわらず、息づかいがよくならない点を、池江泰寿調教師は疑問に思った。

「喘鳴症(ぜんめいしょう)か喉頭蓋(こうとうがい)か炎症かわからず、内視鏡も入れて検査をしたが、重篤ではなかったし、病気とかではなく、喉頭蓋のちょっとした動きによるものでした。これをコントロールすることができそうなので、いろいろ試行錯誤して息づかいに関しては改善できました」

 最終的には、口が開くのと喉頭蓋を抑える働きがある特殊馬具のフィギュアエイト鼻革を採用。この日の調教でも使用し、実際のレースでも着用するという。

 息づかいについては前向きに語られたが、動きそのものについて納得いかないのか、ルメール騎手の表情は最後まですっきりとは晴れなかった。本来ならば伸びるべき部分で「頭を下げてしまい、肩が上がらなかった」(ルメール騎手)と言う。言い換えれば、のめって力が入っていかず、それが物足りないという感想に繋がったのだろう。

 昨年の有馬記念、完全に負けたと思った位置から一瞬の脚を繰り出し、グランプリのゴールに真っ先に飛び込んだ。その乗り味を知っているからこそ、今の状態を手放しで歓迎できない。

「今朝は朝つゆが芝に多く付着していたので、この馬には走りづらかったのかもしれない。実際のレースは朝つゆも乾いている頃。それだけに、当日まで雨は降ってほしくない」

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