ダービーのレベルに疑問。神戸新聞杯で秋始動のレイデオロは大丈夫か (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki photo by AFLO


 スローペースを見越して早めに動いたのは鞍上のルメール騎手の好判断だったが、あのような、いわば奇襲策で勝てたということは、それだけ今年のダービーのレースレベルは高くなかったと見ることもできる。ペースの違いはあるとはいえ、ソウルスターリングが勝った前週のオークスの勝ちタイムは2分24秒1。1000m通過は61秒7で、ダービーとは1秒5しか変わらないのに、全体では2秒8も遅いものとなっている。ダービー時点の走りでは、レイデオロに高い評価は与えづらい。神戸新聞杯の後に続く古馬との戦いを考えると、さらなる成長がないと、キタサンブラックなどの強豪には太刀打ちできないだろう。

 今回はダービー以来約4カ月ぶりの出走。同じく、約3カ月半ぶりの休み明けとなったGI皐月賞では5着と敗れているが、調整が遅れての"ぶっつけ"で、GIというレースレベルを考えると、0秒4差の5着は好内容で、休み明けは苦にしないタイプと言っていいだろう。当時に比べ、この夏の調整は極めて順調に進んだようで、関係者のコメントからは心身ともに成長したことが感じられる。皐月賞よりもいい状態で臨めそうだ。

 神戸新聞杯にはダービー2着のスワーヴリチャードが出走せず、ダービー3着のアドミラブルも故障のため戦線離脱。ダービー4着のマイスタイル、皐月賞3着のダンビュライト、GII弥生賞を勝ったカデナなどの実績馬も出走するが、レイデオロが断然の人気を集めそうなメンバー構成となっている。

 レイデオロにとって怖い存在になりうるのが、2連勝中のキセキ。先週のGIIローズSやGIIセントライト記念を見てもわかるように、秋の3歳GIトライアルは、夏の間に力をつけてきた馬が、春の実績馬を破るケースが多い。キセキは500万下(7月15日/中京・芝2000m)、信濃川特別(8月5日/新潟・芝2000m)と連勝中で、前走は上がり3F32秒9と、並みの馬では出せない数字を出して素質の高さを証明している。"夏の上がり馬"としてはこの馬が筆頭だろう。

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