オールカマーで思い出す、「中山マイスター」マツリダゴッホの秋祭り (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by AFLO

 その庭で、とりわけ強さを発揮したのは、GIIオールカマー(中山・芝2200m)。2007年から2009年まで3連覇という、歴史的な快挙を成し遂げた()。
※平地の同一重賞3連覇は他に、セカイオー(鳴尾記念/1956年~1958年)、タップダンスシチー(金鯱賞/2003年~2005年)、エリモハリアー(函館記念/2005年~2007年)と、マツリダゴッホを含めて計4例あるのみ。

 この3年間にわたる3度のレースで、マツリダゴッホはそれぞれ違う競馬を見せて勝利を飾った。

 2007年はちょうど中団あたりを追走し、斤量59kgを課せられた2008年は一転して道中2番手につけ、そして2009年はなんとハナを切って逃げた。

 ただ、そんなふうに道中の位置取りは違ったものの、勝ち方はいつも同じだった。4角手前からスパートして、直線ではいち早く先頭に立ち、そのまま押し切るという競馬だ。2007年の有馬記念も、この競馬でダイワスカーレットを1馬身4分の1退けた。

 マツリダゴッホの強みは、中山コースではどんな展開になろうと、こうすれば勝てるという"勝ちパターン"を持っていたことだろう。いや、もっと言えば、馬自身がそれを知っていたからではないか。おそらくそれが、マツリダゴッホを「中山マイスター」にした一番の理由に違いない。

 そのマイスターぶりを最後に見せたのが、2009年のオールカマーだ。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る