女傑ファンディーナのローズS。皐月賞の敗戦でどれだけ強化されたか (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki  photo by AFLO


 無敗の重賞ウイナーとなったファンディーナ陣営が選んだのは牝馬クラシック・GI桜花賞ではなく、牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞。このレースに牝馬が出走することは極めてまれで、過去30年では1991年ダンスダンスダンス(5着)、2014年バウンスシャッセ(11着)に続く3頭目。5月の東京で行なわれていた1940年代こそ、1947年トキツカゼ、1948年ヒデヒカリと2頭の勝ち馬が出ていたが、近年の成績が物語るように、牝馬にとってはかなり高い壁であった。レースでは1番人気に推され、スムーズに内目の好位3~4番手を追走。直線では岩田康誠騎手の追い出しに応え、一瞬先頭に立ったものの、失速して0秒5差の7着に敗れている。

 皐月賞の敗因を分析してみよう。レース前のパドックを振り返ると、もともとチャカつき気味の馬ではあるが、この日はいつもよりもさらにイレ込んでいるように見えた。そしてレース展開。勝ったアルアインも同じような位置にいたので、力のある馬なら勝ち負けできる展開と言えたが、アルアインに比べると反応がよすぎて早めに先頭に立ってしまったぶん、スタミナがもたずに厳しくなったようだ。

 皐月賞の前半600mの通過タイムは35秒1、1000mの通過は59秒0。ファンディーナがそれまで経験してきたレースの同通過タイムは、新馬戦が36秒8-63秒4、つばき賞が38秒1-64秒1、フラワーCが36秒5-61秒1というもの。どれもスローペースと言っていい展開で、1000m通過タイムでは最大5秒1もの差があった。初めて体験する流れに戸惑った面はあるだろう。

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