あの天皇賞へ。札幌記念で思い出す、ヘヴンリーロマンスの「ミラクル」 (4ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

「強い馬は外から相手をねじ伏せる」

 ある高名な競馬評論家の言葉を思い出す。その言葉どおり、ヘヴンリーロマンスはまるで牡馬のような迫力と力強さで、最後はファストタテヤマをねじ伏せてみせた。

 レース後の勝利騎手インタビューで、主戦の松永幹夫騎手(現調教師)は、勝因は? と問われてこう答えた。

「放牧に出して、本当に馬がよくなって帰ってきた」

 ヘヴンリーロマンスはこのあと、GI天皇賞・秋へと駒を進めた。ここでも、18頭立ての14番人気という低評価を覆(くつがえ)して快勝。ゼンノロブロイ、ハーツクライなど超一戦級の馬たちを撃破し、GIの勲章まで手にしたのだ。

 すべては、あの4カ月足らずの"リフレッシュ休暇"から始まった。

 ヘヴンリーロマンスが"ミラクル"を起こしてから、はや12年。この週末に行なわれる札幌記念(8月20日)にも注目である。ひょっとしたら、いい休暇を取って一変した馬の大駆けがあるかもしれない。

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