GI6勝の名馬モーリスの弟、
ルーカスは「兄と同じような走りをする」

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選! 2歳馬情報局(2017年版)
第11回:ルーカス

 一昨年、昨年と、世界にその名をとどろかせた日本のサラブレッドがいる。国内外でGI6勝を挙げたモーリスだ。

 2015年、4歳になったときはまだ1000万条件の身だった。それが、明け4歳となった初戦で1000万下を快勝。以降、1600万下、GIIIと連勝し、その勢いのままGI安田記念(東京・芝1600m)までも制覇。怒涛の4連勝を飾って、一気にマイル界の頂点に上り詰めた。

 その快進撃は、そこで終わらなかった。5カ月半ぶりとなった11月のGIマイルCS(京都・芝1600m)も圧勝。国内マイルGIの春、秋連覇を果たすと、今度は海外遠征に挑み、GI香港マイル(香港・芝1600m)で並みいる強豪を蹴散らした。

 さらに2016年、5歳春には香港のGIチャンピオンズマイル(香港・芝1600m)を制覇。GI4連勝という快挙を遂げて、世界トップクラスのマイラーとして君臨した。

 そして「マイル王」の名をほしいままにすると、その年の秋には2000mの中距離戦に進出。GI天皇賞・秋(東京・芝2000m)、海外GIの香港カップ(香港・芝2000m)と、他を寄せつけない圧巻の走りで連勝し、その強さを誇示したまま引退したのである。

 まさに、近年の日本を代表する「名馬」である。

 とはいえ、血統的には決して「良血」と言われていたわけではなかった。1歳時に出されたセリでは、150万円(税別。以下同)の値しかつかなかった。サラブレッドとしては、極めて低い評価額だった。その後、最初の購入者が2歳になって再びセリに出したが、そこでも結局、1000万円という比較的安い価格で取引された。

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