「千直」を知る大西直宏が言う。アイビスSDはレッドラウダが要注意 (3ページ目)

 問題は、気性面にあったのではないでしょうか。現に、前走のGIII CBC賞(7月2日/中京・芝1200m)では初めてブリンカーをつけて、その効果があってか、ゴール寸前まで粘って3着入線を果たしました。好調時の走りに近かったと思います。

 もともとスピード能力は高い馬。あとは、その持続力に課題があったと思うので、それが解消されたとなれば、今回は有力視していいでしょう。

 馬自身は初の千直でも、鞍上はこのレースを勝ったことのある酒井学騎手。勝ち方を知っているので、心配はないと思います。逃げ馬にとって絶好の大外枠を引きましたし、楽しみな1頭です。

 ところで、千直の競馬においてはもうひとつ、個人的に思うことがあります。それは、1200m戦などに比べると、クラスの壁が低く感じることです。

 通常は重賞ともなると、格下(条件馬)が格上挑戦してきた場合、相当厳しいレースを強いられます。しかし、このコースでは意外と格下馬が好走するケースが多いと思うんですよね。それは、クラスの壁よりも千直適性のほうが、重要度が高いからだと思います。

 事実、一昨年2着に入ったシンボリディスコや、2013年3着のリトルゲルダ、さらには2010年の勝ち馬ケイティラブや、2006年のレースを制したサチノスイーティーなど、条件馬が格上挑戦で結果を出しています。ちなみに、2006年に僕が騎乗して2着となったマリンフェスタも、1000万条件と2階級下の条件馬でした。

 そこで、今年も条件馬に注目。レッドラウダ(牡4歳)を「ヒモ穴馬」に取り上げたいと思います。

穴は千直適性の高いレッドラウダ穴は千直適性の高いレッドラウダ 明け4歳馬となるレッドラウダはクラス再編成によって、今は1000万条件の身。ただ、それは形式的なことで、ここ最近はずっとオープンで戦っていて、まったく格下感がありません。それもあって、あえて格上挑戦してくるのだと思いますが、陣営はそれ以上に、同馬の千直適性の高さを買っているのでしょう。

 振り返れば、この馬の準オープン勝ちも格上挑戦。同じ千直のレースでした。おそらく、初めて千直に挑戦した驀進特別(1000万条件)で2着となって適性の高さを感じ、その後は千直の番組に合わせてレースを選んできたのでしょう。そうして、最終的には千直では唯一の重賞であるココが、最大の目標になったと思います。

 取りこぼしもあって格上挑戦という形になりましたが、陣営の青写真どおりに目標レースに臨むことができたように思えてなりません。馬券対象内に入ってくる可能性は大いにあるのではないでしょうか。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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