「千直」を知る大西直宏が言う。アイビスSDはレッドラウダが要注意 (2ページ目)

 直線のレースとはいえ、コース取りにも大きな駆け引きがあって、レースの行方を左右するポイントです。外枠有利と言われますが、展開によっては、それが逆に不利になる場合もありますからね。

 本当にコースはシンプルですが、乗るのは意外と難しいのが千直なんです。

 そんな舞台で行なわれるアイビスSD。今年のメンバーで人気になりそうなのは、昨年2着のネロ(牡6歳)でしょうか。千直は5回走って、2勝、2着3回と連対率は100%。出走馬の中で重賞勝ち馬は3頭しかいませんが、その1頭であり、中間の調教でも抜群の時計を連発していますからね。

 ただ今回は、負担重量が最大の58kg。前述したとおり、千直ではスタートダッシュが重要なファクターのひとつです。斤量が重いと、自然とダッシュ力は鈍ります。たった1kgでも大きく変わるのですが、昨年よりも2kgも重くなって、他馬と比べてもその差は大きいです。もともと、ゲートはそれほど速いほうではありませんし、少なからず不安を感じてしまいますね。

 今年のメンバーの中で僕が注目しているのは、このレースの前哨戦とも言える韋駄天S(5月21日/新潟・芝1000m)を快勝したフィドゥーシア(牝5歳)と、初めての千直参戦となりますが、メンバー中、唯一の重賞2勝馬となるアクティブミノル(牡5歳)です。

 フィドゥーシアについては、2走前の春雷S(4月16日/中山・芝1200m)を勝ったときに、そのレースぶりから「千直が合いそうだな」と思ったんです。

 好スタートからダッシュよく、一瞬先頭に立ちましたが、内からラズールリッキーがハナを主張してくると、スッと控えて2番手で折り合って、しっかりとタメを作っていました。4コーナーを回るところでは先頭に並びかけ、直線の急坂も勢いが衰えることなく、そのまま押し切りました。まさに千直で必要なファクターを持ち合わせていますよね。

 そして実際、前走の韋駄天Sを完勝。千直適性の高さを見せてくれました。鞍上も、前走と同じ石橋脩騎手。いいイメージを持って騎乗できるのではないでしょうか。

 一方のアクティブミノル。重賞2勝とはいえ、その実績は数年前の、2歳夏と3歳9月のときのもの。以降、結果は残せていません。それでも、昨年はGI高松宮記念(中京・芝1200m)でも4着と好走するなど、それなりの走りを見せて、脚力の衰えを感じることはありませんでした。

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