これぞ「正攻法」。君は中京記念の
オサイチジョージを知っているか?

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • 日刊スポーツ/アフロ●写真 photo by Nikkan sports/AFLO

 明け5歳(当時)と古馬になったこの年、オサイチジョージはいきなり重賞を2連勝した。年明け早々のGIII京都金杯(京都・芝2000m)と、以前は春先に開催されていたGIII中京記念(中京・芝2000m)である。

 今週末、中京競馬場で中京記念(7月23日/芝1600m)が行なわれるが、27年前の勝ち馬がオサイチジョージだった。

 それは、まさに"上がり馬"の勢いを示すレースとして記憶に残る一戦となった。

 このレース、オサイチジョージは斤量58.5kgというトップハンデを背負っていた。けれども、委細構わず、いつもの正攻法の競馬に出る。

 道中は逃げ馬を射程圏にとらえて3~4番手を追走。いつものように4角あたりで押し上げて、先頭に出る。

 今回も横綱相撲か――そう思った瞬間、何かがすごい勢いでまくってくるのが見えた。タニノスイセイという、単勝13番人気の馬だった。人気薄の気楽さから、捨て身の末脚勝負にかけてきたのだ。

 しかし、オサイチジョージはその猛追をアタマ差しのいで、先頭でゴール板を通過した。

 レースの上がりタイムを見ると、豪快にまくってきたタニノスイセイより、先行したオサイチジョージのほうがコンマ1秒速かった。追い込んだタニノスイセイにしてみれば、前を行っていた馬に自分より速い上がりを使われては、もはやなす術(すべ)はなかった。

 言うなれば、"正攻法"という戦法の確かさを、まさにオサイチジョージが実演してみせた一戦だった。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る