あのDMMが競馬を変えるか。キタサン全弟ほか、良血馬をまとめ買い (3ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 このほか、「ダノン」の冠名でお馴染みの(株)ダノックス、「ミッキー」冠名の野田みづき氏も例年どおりの購買力を見せていた。

 一方で、昨年までよりもトーンが落ち着き気味だったのが、昨年の日本ダービーをマカヒキで制した金子真人氏(名義は(株)金子真人ホールディングス)や、「トーセン」の島川隆哉氏といった面々。それでも全体が盛況であった要因は、新世代の台頭にあった。

 中でも大きなインパクトを残したのは、動画配信やオンラインゲームなどのネットエンターテインメントの巨艦、DMMの参入だった。

 今年のセレクトセールで、GI馬の全きょうだい(父も母も同じ)の上場馬は、ラヴズオンリーミーの2016(牝1歳/父ディープインパクト、全兄リアルスティール)、ドナブリーニの2017(牝0歳/父ディープインパクト、全姉ジェンティルドンナ)、シュガーハートの2017(牡0歳、父ブラックタイド、全兄キタサンブラック)の3頭のみだったが、DMMはこの3頭を根こそぎ持っていってしまったのだ。同社は既に新規クラブ法人馬主の準備体制を整えており、今年中にはサービスを開始する見込みだ。これまでは1頭に対し、多くても400口に分けて出資するのが主流だったものを、1頭1万口で募集し、より手軽なクラブ法人を目指すのだという。購入した3頭は、血統に詳しくなくてもわかりやすい良血で、このことからも、入念に血統や馬体を検討するファンではなく、よりカジュアルに「名馬の弟(または妹)」を持ちたいといった層がメインターゲットであることが伝わってくる。

 はたして新たなタイプの「一口馬主」は今後、競馬サークルにどのような風を吹き込むだろうか。

■競馬 記事一覧>>

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る