あのDMMが競馬を変えるか。キタサン全弟ほか、良血馬をまとめ買い (2ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 とりわけ大活躍だったのは、「サトノ」の冠名でおなじみの里見治氏の所有馬だ。サトノダイヤモンド、サトノクラウンでGIを各2勝、サトノアラジン、そしてこのセール出身ではないがサトノアレスでGIを1勝ずつと、これまでGIを勝てそうで勝てなかったのが嘘のような快進撃を見せている。ここ数年は億単位の高額購買の常連で、もともとの潤沢な資金に加え、今年はレース賞金も加わったため、今回はより多くの購買が予想されていた。

 実際、その期待に応えるような高額落札を連発した。中でも、上場番号107の母リッスンの2016(牡1歳/父ディープインパクト)は、2億7000万円と、1歳セッションでの最高値を記録。これを含めて、ディープインパクト産駒6頭、ロードカナロア産駒1頭の"億超え"ホースを購買。総額では16億9700万円とセリ参加者の中でもダントツ、里見氏自身としても昨年の13億2700万円を3億以上も超える購買となった。

 昨年、アイルランドの競走馬グループ、クールモアとの競りをジャパンマネーで退けたように、今年も存在感を示した里見氏であったが、2日目の当歳セッションで上場番号362イルーシヴウェーヴの2017(牡0歳/父ディープインパクト)を巡っては、超高額の攻防の末に敗れることとなった。2日間を通じて最高落札額の5億8000万円で落札したのは、「アドマイヤ」の冠名でおなじみの近藤利一氏だった。今年、GIヴィクトリアマイルを制したアドマイヤリードもこのセール出身だ。

 3億を超えてからの攻防は間髪入れずに1000万円単位で入札額が上乗せされていく、まさに札束のボクシング。かつてはセレクトセールにおいて「億超え」購買の常連だったが、ここ数年は大きな買い物は少なかった近藤氏。「まだまだ健在という意地を見せたかった」と、久々に「らしさ」を見せて、ノーガードの打ち合いを制した形となった。

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