上昇気配の逃げ馬ステイインシアトルが、函館記念でぶっちぎる条件 (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 さて、6歳の春にして、初の重賞制覇を飾ったステイインシアトル。その軽快な逃げ足は、ついに重賞のレベルにまで達して、GIでも好勝負を演じているスマートレイアーの末脚を封じるまでになった。

 今週末に行なわれるGIII函館記念(7月16日/函館・芝2000m)でも、主力の1頭として注目を集めている。

 ここまで、10戦5勝、2着2回(着外3回)。もともと脚元が弱く、3歳春の未勝利戦でデビューし、その3歳時も2戦しか消化していない。以降、3歳春から4歳の暮れまで、およそ17カ月半の休養を強いられ、4歳時にこなしたレースも1戦のみだった。

 だが、その長期休養を経て、ステイインシアトルはその後、順調にレースを使えるようになって徐々に頭角を現してきた。その過程を、関西の専門紙記者が振り返る。

「デビューしたのが福島ですから、(ステイインシアトルは)もともとそれほど期待されていたわけではなかった。でも、1年半ほど休んで、その復帰戦で見どころがあった。普通はそれだけ休むと、すぐには走れないものですが、この馬は勝ち馬とタイム差なしの2着に食い込んだ。しかも、その後に2連勝。あのとき『この馬、強くなったなぁ』と、素直に思いましたよ」

 これまでに挙げた5勝は、すべて逃げ切り勝ち。逆にハナを切れなかったり、途中で先頭を奪われたりしたときは、意外なほどの脆さを見せる。掲示板にさえ載れない惨敗を喫した3回は、いずれもこういうときだ。

 函館記念においても、この馬の勝敗は逃げられるかどうかが、ひとつのカギになりそうだ。

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