七夕賞は、横山典騎手がスズカデヴィアスを「勝利の架け橋」へ導く

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 早いもので、今年も夏競馬の季節がやってきました。今週はその始まりを強く感じさせる七夕賞(7月9日/福島・芝2000m)が開催されます。

 舞台となるのは、福島競馬場。トップジョッキーが騎乗する"中央開催"として行なわれるのは、この時期のおよそ1カ月(4週間)だけです。

 以前、新潟の友人から聞いた話ですが、新潟も"中央開催"は夏限定で、その期間の重賞ともなれば、地元ファンの熱気は相当なものだとか。そのレースをとても楽しみにしていて、当日の競馬場はそれこそ、GI並みの盛り上がりを見せるそうです。そのため、「勝った馬には、ぜひウイニングランをしてほしい」と言っていました。

 福島のファンの方々も同様な思いがあるはず。事実、先週のラジオNIKKEI賞もかなり盛り上がっていました。3歳限定戦だったので、さながら"福島のダービー"といった雰囲気でしたね。

 そうすると、七夕賞は天皇賞・秋といったところでしょうか。今年は12頭立てと例年に比べて出走頭数は少ないですが、GI級の白熱したレースになることを期待したいですね。

 まず注目は、年明けのAJCC(1月22日/中山・芝2200m)以来の出走となるゼーヴィント(牡4歳)です。

 昨夏のラジオNIKKEI賞(2016年7月3日/福島・芝1800m)の勝ち馬で、秋には福島記念(2016年11月13日/福島・芝2000m)で2着と好走。福島コースでの実績は十分です。加えて、中山・芝2200mのセントライト記念(2016年9月18日)、そして前述のAJCCでも2着と、いかにもこの舞台が合いそうな馬です。

 というのも、スタート地点が4コーナーを回り切った辺りからとなる中山・芝2200mは、1コーナーまでの距離があって、比較的狙ったポジションを取りやすく、テンから激しくなりにくいコースなのですが、4コーナーのポケットからスタートする福島・芝2000mも同様のことが言えるからです。

 また、どちらも直線の短い小回りコース。仕掛けのタイミングが似ていて、レースに臨むにあたっては同じようなイメージが持てます。このコース形態が、ゼーヴィントには合っているのでしょう。

 今回の鞍上は、戸崎圭太騎手。この馬には4回騎乗して、2勝、2着2回とパーフェクト連対です。道中のポジションはどこが最善なのか、終(しま)いでどれだけ脚を使うのか、よくわかっていると思います。

 唯一の懸念は、脚元の不安による休み明けという点です。ただ、春の大きいレースを見送ってきているのですから、万全になるまでじっくりと待ったのだと思います。そう考えれば、それほど心配はいらないでしょう。有力な1頭だと見ています。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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