個性派のオルフェーヴル、ロードカナロアは種牡馬として成功するか? (3ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki  photo by AFLO


 オルフェーヴルの父ステイゴールドは母の父メジロマックイーンとの配合で、他にもドリームジャーニー、ゴールドシップといった名馬を出すなど、意外性の配合で成功した特異なタイプの種牡馬だった。オルフェーヴルも全兄ドリームジャーニーがGI馬だったとはいえ、牝系はそれほど発展しておらず、"良血馬"とは言いにくい血統背景の持ち主。種牡馬は血統の良さがものをいうケースも多いだけに、安定した成績を残すのは難しいかもしれない。

 とはいえ、あれだけ高い能力を見せた名馬であり、気性の激しさは種牡馬にとっていい方向に向くケースも多々ある。筆者の見解としては、リーディングサイアーになるようなことはなくても、必ずや、父を思い起こすような大物を出してくれると信じている。いわば父ステイゴールドと同じようなイメージだ。だから、必ずしも良血馬から活躍馬が出るとは思えず、ペーパーオーナーゲームなどで、オルフェーヴル産駒を指名して当たりを引くのはかなり難しいかもしれない。でも、"オルフェーヴルのような馬を再び"という夢を追いたくなる、そんな種牡馬だ。

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 続いてはロードカナロア。オルフェーヴルと同い年だが、競走生活はまったくといっていいほど異なるものだった。

 2歳12月に新馬勝ち(小倉・芝1200m)を果たすも、クラシック戦線へは向かわず芝短距離戦線へ進み、3歳秋のGIII京阪杯(京都・芝1200m)で重賞初制覇。4歳秋のGIスプリンターズSでGI初制覇を飾ると、それまで日本馬が一度も勝てなかった香港スプリントを制し、一躍世界レベルの馬としてスターダムにのし上がった。翌年もその勢いは止まらず、GI高松宮記念(中京・芝1200m)に続き、1600mのGI安田記念(東京)も制し2階級制覇。秋にはGIスプリンターズS連覇を果たし、同じく2連覇となった香港スプリントでは、世界の強豪を相手に5馬身差という圧勝で、世界に衝撃を与えた。この年はGI4勝の成績で、JRA年度代表馬に選ばれている。

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