難解な安田記念。アンビシャス、
ステファノス「悲願の初GI」あるぞ

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki  photo by Yamane Eichi/AFLO


 プリンシパルSはGI日本ダービー(東京・芝2400m)のトライアルなので、勝てば日本ダービーへの出走権が与えられるのだが、アンビシャス陣営は「2400mは長い」と判断し回避。7月のGIIIラジオNIKKEI賞(福島・芝1800m)に向かうと、56.5kgのトップハンデ、300m弱の短い直線をものともせず、後方から直線一気の差し切りで3馬身半差をつける圧勝を見せた。

 その後は中距離戦線を中心に出走。3歳秋は勝ち切れなかったが、印象的だったのが、天皇賞・秋(東京・芝2000m)だ。道中は折り合いを欠いて行きたがり、普通だったら惨敗してもおかしくないケースだったが、最後の直線では2着争いにも加わり、勝ち馬から僅か0秒2差の5着に健闘したのだ。このレースでこの馬の強さを評価した人も多いだろう。

 翌年もGII中山記念(中山・芝1800m)でドゥラメンテの2着に入り、GII大阪杯(阪神・芝2000m)では横山典弘騎手が2番手からレースを進める奇策で、キタサンブラック、ショウナンパンドラ、ラブリーデイ、イスラボニータ、ヌーヴォレコルトのGI馬5頭を封じて、重賞2勝目を挙げている。

 そのレース後は勝利がなく、今年は中山記念4着、GI大阪杯5着を経て、この安田記念に出走。昨年より着順は落ちているが、大阪杯では最後方追走からメンバー中最速の上がり3ハロン33秒6を記録しており、内容は悪くない。

 1600mの重賞は初出走となるが、2歳時に1600m戦は2戦2勝。折り合いに難があるだけに、距離短縮でレース展開が速くなるのは好都合だ。

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