老舗牧場の歴史を紡ぐレーヌミノル。オークスで「新たな伝説」となるか (4ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 そうして迎えたレース本番。レーヌミノルは中団やや前につけると、直線ではギリギリまで追い出しを待った。そして、直線半ばでグッと抜け出すと、断然人気のソウルスターリングや、3番人気のリスグラシューが迫ってきたが、そのまま先頭を譲ることはなかった。ゴール前でわずかにかわされてきたこれまでのレースが嘘のように、堂々とトップでゴール板を通過して栄冠を手にしたのだ。

 改めてレースを振り返って、「理想的な競馬だった」としみじみ漏らした藤原氏。なにしろ、およそ50年前から牧場にいた愛馬の血筋である。幼い頃をともに過ごしたヤマトタチバナから、4代つないで生まれたレーヌミノル。その彼女が、クラシックのタイトルをプレゼントしてくれたのだ。これほどの喜びはないだろう。きっと父の昭三氏も、天国で微笑んでいたに違いない。

「自分でも信じられないような話です。桜花賞の夜は、祝杯をあげながらいろいろなことを思い出しましたよ(笑)。昔の牧場の風景や、ヤマトタチバナのいた時代を......。創業したばかりの頃にいた血統ですからね。亡くなった親父のためにも、ここでずっと持ち続けてきた血統がGIを勝ってくれて本当によかったです」

 ちなみに、レーヌミノルの母ダイワエンジェルは、5年連続でダイワメジャーと配合された。そして、その5年目の子が桜花賞馬となった。なぜ同じ種牡馬を選び続けてきたのか、藤原氏がその理由を教えてくれた。

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