荒れまくる天皇賞・春。穴はクセ馬を操る横山典のゴールドアクターだ (2ページ目)

 誤解がないよう、ここでひとつ断っておきますが、スピード優先の配合だから「この舞台では来ない」と言っているわけではありません。例えば、人気がなくて、終(しま)いにかける漁夫の利を狙ったような競馬をすれば、本質的にはマイラーの馬でも好走する可能性はあります。距離は違いますが、昨秋の菊花賞で2着に入ったレインボーライン(牡4歳)などは、その類いだと思います。

 ある程度人気を集め、関係者自身も、もちろん手綱をとるジョッキーも、勝利を意識しながら勝つ――それには、地力が必要であり、距離適性も求められる、ということです。

 では、今年の天皇賞・春はどうなのか?

 キタサンブラック(牡5歳)については、血統背景は「?」と思っていたのですが、実際には菊花賞、さらには昨年のこのレースを制しているわけですから、長丁場に対しての適性は問題ないでしょう。唯一、いつも気になることなんですが、決め手勝負になった場合がどうなのか。

 長丁場のレースでは、時として考えられないような超スローで、究極の決め手勝負になるときがあります。もしそうなった場合、決め手の差で敗れることは考えられます。

 ただ、鞍上が"名手"武豊騎手。今までも、そういうレースにならないように展開を作ってきていると思います。出遅れや不利があるなど、余程のことがない限り、今回もそうした流れにはならないでしょう。

 一方、キタサンブラックと「2強」を形成するサトノダイヤモンド(牡4歳)はどうか。こちらは、鋭い決め手を秘めています。つまり、スピードがあるということ。ゆえに、キタサンブラックとは反対に、厳しい流れになって究極の地力勝負となった場合は、ひょっとしたら崩れてしまうかもしれません。

 しかしこちらも、気になるのはその程度。昨年末の有馬記念の頃にはまだ気性の幼さがうかがえ、馬体も華奢(きゃしゃ)に見えましたが、前走の阪神大賞典(3月19日/阪神・芝3000m)の際には、気性にも、馬体にも、大きな成長が感じられました。

 まだ完成はしていないと思いますが、現時点でもものすごいオーラを感じます。キタサンブラックを負かすとすれば、やはりこの馬が最右翼になると言えるでしょうね。

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