皐月賞に挑む牝馬ファンディーナ。最大の不安は「負けを知らぬこと」 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki  photo by AFLO


 ファンディーナに関して、性別に加えて注目すべきは、デビューからの日の浅さである。同馬は今年の1月22日にデビュー戦(京都・芝1800m)を勝ち上がっているが、過去の勝ち馬において3歳デビューで皐月賞を制したのは1988年のヤエノムテキ(2月27日デビュー、以下同)、98年のセイウンスカイ(1月5日)、2002年ノーリーズン(1月5日)など12頭で、ファンディーナが勝てばデビューから85日での戴冠となり、1976年のトウショウボーイと並び歴代9位の記録となる。ちなみに1位はデビューから6日(3戦目!)で制した1939年(第1回)のロツクパークである。年明けデビュー&無敗で皐月賞を勝てば、1985年ミホシンザン以来。無敗だけを見れば、父である2005年ディープインパクト以来12年ぶり。これだけでもなかなかの快挙である。

 ファンディーナのこれまでの走りを振り返ってみる。新馬戦は京都・芝1800m。1000m通過63秒4というスローペースで逃げる楽な展開であったが、軽く仕掛けただけで後続を9馬身突き放す圧勝。大物の片鱗を見せた。

 2戦目は同じコースで行なわれたつばき賞(2月19日/京都・芝1800m)。タガノアスワドが離した逃げで、64秒1というこれまた超スローペース。楽なペースで逃げた馬を、圧倒的な人気馬が差し切れずに終わるというのは競馬ではよくあるシーンだが、ファンディーナは難なく差し切り、ゴール前では1馬身3/4差をつけていた。特筆すべきはその上がり3ハロンのタイムで33秒0。これは2着タガノアスワド、3着インウィスパーズのそれを1秒2も上回るダントツの最速タイムだった。0秒2で1馬身差と言われるので、単純計算すると約600mの競走で6馬身の差がついたことになる。これは決定的な力の差と言える。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る