5歳で完成期のサトノクラウン。「種牡馬の価値」もかけて大阪杯へ (4ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 ただ、これらの時期にも、まだまだ馬体、精神の両面で向上する必要性があったという。ノーザンファームしがらきに滞在した際にも、常にその辺りの強化を図ってきた。

 要するに、サトノクラウンは古馬になっても、まだ発展途上の段階にあった。昨年の京都記念を勝ったあと、香港のGIクイーンエリザベスII世C(12着。2016年4月24日/香港・芝2000m)、GI宝塚記念(6着。2016年6月26日/阪神・芝2200m)、そして天皇賞・秋と3連敗を喫したのも、馬自体に陰りが見え始めたのではなく、あくまでも成長過程にあったにすぎないのだ。小出氏が語る。

「(昨春の)香港は初の海外遠征でしたし、宝塚記念は前日に輸送したあと、イレ込んでしまったという話もあります。もともと気持ちにムラのあるタイプですから、その間は成績が出なかったのかもしれません。馬の状態自体は決して悪くはなかったですし、むしろ好調なときのほうが多かったくらいですから。ただ、そういう状況の中でも、(馬体、精神面ともに)徐々に成長しているのは感じられました」

 3連敗の最中にあっても、サトノクラウン自体はレースを重ねるごとに完成期へ向けて着々と前進していた。あとは、馬体面と精神面の成長がぴったりと合致する瞬間を待つだけだった。

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