ヴィブロスでドバイターフを制した
「大魔神馬」。次はアメリカに照準

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu


「北海道(2歳優駿)でも自分でペースを作ったし、他に誰も来なかったんで、リラックスしていいマイペースで行けた」とルメール騎手は振り返る。直線を向いて、外から各国のブックメーカーで1番人気のサンダースノー(牡4歳)が迫るが、それにひるむことなく、抜かせまいと踏ん張りを見せる。そのまま2頭が鼻面をそろえてゴール。ファインダー越しに見ていた感覚では内のエピカリスのように見えたが、スローリプレイではサンダースノーがゴールの瞬間だけ鼻面抜け出していた。

 あまりにも悔しい2着。引き上げてきたルメール騎手は、クールさが持ち味の彼としては珍しいほどに顔を赤らめ、悔しそうな表情を見せていた。全レースが終わって、落ち着いたところで話を聞くと「勝った馬がとても強かった。あそこまで行って勝てなかったのはとても悔しかったけど、サンダースノーと同じだけの力を見せたのだから、エピカリスも凄く強いと思う」と愛馬の健闘を称えていた。

 そして、日本の競馬ファンにとって、最大の盛り上がりとなった冒頭のシーンは第7レースのドバイターフである。昨年の覇者リアルスティール(牡5歳)がレース4日前に鼻出血で出走を取りやめ、ヴィブロス(牝4歳)のみの出走となっていた。

 レース前日の調教で、さらにその前日に香港からやってきた名手、ジョアン・モレイラ騎手がヴィブロスに跨り、その感触を掴んだ。ダートコースを正味1周。しかし、そのほんの僅かなコンタクトで「どんな馬か、これで確認できた。ものすごく状態もいいし期待できる。できれば雨は避けたいかな」と周囲に自信たっぷりにコメントを発していた。

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