わずか250万円の馬がクラシックの主役に。ブレスジャーニーの雑草魂 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 三浦晃一●撮影 photo by Miura Koichi

 さらに、出世レースとされるGIII東京スポーツ杯2歳S(2016年11月19日/東京・芝1800m)においても、1億円を超える良血馬を尻目に、上がり33秒7の末脚を駆使して勝利。一躍、世代のトップクラスとして評価されるようになった。

 今年の3歳牡馬において、重賞を2勝しているのは、ブレスジャーニーしかいない。確実にクラシックを狙える位置にいるのだ。

 セリでの価格は安かったが、デビューにいたる過程ではスタッフの評価もうなぎ登りだったという。関東競馬専門紙のトラックマンが語る。

「デビュー前は、格上の馬と一緒に調教をしても、遅れたことがないくらいの動きだったようですね。とにかく走り出すとマジメで、他馬と並ぶと負けん気を見せるのも魅力。東スポ杯2歳Sでも、他馬と合わせてからもうひと伸びしましたから。スタッフはその点をかなり評価しているようです」

 ふたつ目の重賞タイトルを獲ったあとは、2歳GIには見向きもせず、今春のクラシックを見据えて放牧に入った。そして1月下旬には厩舎に戻り、3月のトライアルを使ってGI皐月賞(4月16日/中山・芝2000m)へ向かう予定となっている。

 まさに万全の過程で春のクラシックへ向かいそうな気配だが、実はここにきて不安が先立つ状況になっているという。先述のトラックマンが詳しい話を伝える。

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