今や最大の出世レース。共同通信杯から続々とクラシック馬が誕生するわけ (4ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • 三浦晃一●撮影 photo by Miura Koichi

 共同通信杯をステップにして、皐月賞を制したゴールドシップに騎乗していた内田博幸騎手にも話を聞いてみた。そこで語られたものは、まさに木村記者の分析を裏付けるものだった。

「ゴールドシップは関西馬でしたからね。3歳のあの時期で、しかもゴールドシップの性格も考えると、中山で(トライアルを)使ってまたすぐに本番という形で、短い期間で輸送が続くよりも、(共同通信杯を使って本番までの)間隔が空いていたことがよかったと思います。実際に乗った感じも、皐月賞のときは気分もリフレッシュできていて、体重も減っていたのにグッと成長したような印象を受けました。

 あと、僕自身、ゴールドシップには共同通信杯が初騎乗だったので、実力を発揮しやすい東京のほうが、シンプルに(同馬の)力を量りやすかった、というのはありますね。もしあれが弥生賞とかだったら、いい競馬はしていたと思いますが、(トリッキーなコースである分、結果を出すために)あれこれ余計なこと考えすぎてしまったかもしれないですし、本当に(ゴールドシップの)力を把握できたかどうか、微妙なところですね」

 共同通信杯は、期待馬、素質馬にとって絶好の舞台であることは明らか。しかも、ゆとりあるローテーションやレース間の調整に重きを置かれるようになった今、クラシックに向かううえで、ますます重要なステップレースとなっている。それゆえ、以前にも増して、ここに将来を嘱望された多くの有力馬が集結。その分、レースのレベルも上がって、ここで結果を出した馬がそのままクラシックでも好成績を収めているのだろう。

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