今や最大の出世レース。共同通信杯から続々とクラシック馬が誕生するわけ (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • 三浦晃一●撮影 photo by Miura Koichi

 別の角度から見ても、中山ではなく、東京のレースだからこその利点があるという。木村記者が続ける。

「中山ですと、どうしてもコースの形状から"紛れ"が出やすくなります。そうすると、力があってもそのすべてを出し切れずに終わってしまうことがあります。ということは、賞金も加算できず、クラシック出走すら危うくなります。力のある馬こそ、力を発揮できる舞台で、確実に賞金を稼ぐ、という面もあるでしょう」

 また、紛れのあるコースでは、仮に力負けであったとしても、その紛れに敗因を求めてしまい、根本的な部分を見落としやすい。その結果、過剰評価のまま本番を迎えて、結果を出せない、ということも少なくない。

「たとえ敗れても、ここで課題がはっきりすれば、皐月賞までおよそ2カ月、ダービーまでは約3カ月半あって、その間に本番を見据えて修正することも可能です。つまり、ローテーションという面でもメリットがあるわけです」(木村記者)

 共同通信杯に素質馬が集まる理由のもうひとつは、このローテーションにおける優位性がある。

「特に関西馬は輸送もありますし、本番までの間隔が詰まってしまう中山でのトライアル出走を好まない厩舎も少なくありません。最近は、レースの合間に短期放牧に出す傾向もありますし、そういう状況の中では、本番までにゆったりとした間隔があったほうが調整しやすい、ということもあるでしょう」(木村記者)

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