評価落ちの実績馬は恐い。有馬記念の歴史からマリアライトが光り輝く (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 また、関東の競馬関係者がこんな証言をしている。

「マリアライトの陣営は、オールカマーのときから『この秋のピークは有馬記念』と話していました。昨年は4着でしたが、大外枠からの発走。そのため、道中は外、外を回って、勝負どころでもゴールドシップに外からかぶされたため、早めに動かざるを得なかった。それでいて、勝ったゴールドアクターとはコンマ1秒差。この結果から、陣営はマリアライトの、有馬記念というレースに対する適性の高さを察して、相当な自信を得たようです」

 オールカマー→エリザベス女王杯→有馬記念という、やや変則的なローテーションも、最大目標を有馬記念に据えてきたからだろう。これでもし、陣営の思惑どおり、有馬記念に向けてマリアライトがピークに仕上がってくるとすれば、今度は怖い。いや、今度こそ怖い。

 前走のエリザベス女王杯にしても、鞍上の蛯名正義騎手が「落馬するかと思った」と、のちに証言したほど、1コーナーで大きな不利を受けたことが敗因。それゆえ、この敗戦は度外視できる。ならば、少なくとも「ピークはすぎた」という見方は早計と言える。

 あと、ほしいのは、ほんの少しの"運"か。

 主戦の蛯名騎手は2001年、マンハッタンカフェで初めて有馬記念を勝っているが、そのレースについて、以前こんな話をしてくれたことがある。

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