「怪物の娘」ミスエルテ、朝日杯FSでの牡馬討ちに死角はないか (3ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki photo by Aflo

 今年も、阪神JFと朝日杯FSの出走馬を比べて、阪神のほうが"層が厚い"と感じた人は多いのではないだろうか。今年はこれまでに牡馬混合重賞を勝った牝馬がヴゼットジョリー(GIII新潟2歳S)、レーヌミノル(GIII小倉2歳S)、ジューヌエコール(GIIデイリー杯2歳S)と3頭出ており、現時点では例年より牝馬のレベルが高いと言われている。前評判を見ても、ミスエルテが1番人気に推されそうである。以上の状況を踏まえれば、牝馬でも十分、このレースを勝てるチャンスはあると言える。

 あとはミスエルテ自身の問題だ。血統を見ると、母ミスエーニョは2歳時に米GIIIソレントS(オールウェザー約1300m)を6馬身半差で圧勝し、米GIデルマーデビュータントS(オールウェザー約1400m、8頭立て)では後にケンタッキーオークスなど米GI6勝を挙げるブラインドラックを直線入り口6番手から差し切っている。ソウルスターリングも母が仏オークスなどGI6勝のスタセリタという名牝だったが、ミスエルテも素晴らしい血統の持ち主だ。

 前走ファンタジーSの勝ちタイム1分21秒8というのは際立ったものではないが、上がり3ハロン33秒6と末脚の破壊力は非凡なものを感じさせたし、今回と同じ阪神芝1600mの新馬戦では、ほとんど追われないまま後続を突き放す圧巻の走りを見せていた。その能力は一級品と言っていいだろう。

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