「怪物の娘」ミスエルテ、朝日杯FSでの牡馬討ちに死角はないか (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki photo by Aflo


 過去、朝日杯FS()を勝った牝馬は7頭。最も近い馬でも1980年のテンモンまで36年も遡る。とは言っても、当時は2歳牝馬限定のGI級(GI=グレード制ができたのは1984年から)レースが存在せず、阪神JFの前身レースである阪神3歳ステークスは、牡牝混合の関西の2歳王者決定戦として行なわれていたのだ。
※2000年までのレース名は朝日杯3歳ステークス。馬齢の数え方が今と違い、今の2歳は3歳と数えられていた

 そのため、かつては朝日杯3歳ステークスと阪神3歳ステークスには多くの牝馬が出走していた。その後、1991年に牝馬限定の2歳GIとして阪神3歳牝馬ステークスが創設。現在と同じレース体系となり、あえて朝日杯FSに出走する牝馬は激減した。そんな状況でも、1991年以降4頭の牝馬が出走しているが、2007年フォーチュンワード(9番人気6着)、2013年グリサージュ(12番人気9着)、2013年ベルカント(3番人気10着)、2015年コパノディール(14番人気10着)と、いずれも着外に終わっている。

 一方で最近、傾向が変わってきているのが朝日杯FSの出走馬のレベルだ。牝馬の阪神JFは翌年のクラシック第1弾・GI桜花賞(阪神・芝1600m)と同条件なので、翌年の牝馬三冠勝ち馬が出走していたことも多く、過去10年で13頭に及ぶ後の3歳GI馬が出走。ウオッカ、ブエナビスタ、アパパネなどもここを勝って名牝へと羽ばたいた。対照的に朝日杯FSの出走馬は、2008年キャプテントゥーレ、2013年ロゴタイプなど2頭の皐月賞馬含め、4頭の3歳GI馬を出したに過ぎない。つまり、出走馬のレベルはそれほど高くないのだ。

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