150万円の安馬、モーリスのサクセスストーリーが香港で完結した (2ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu


 続く香港スプリントは、4番人気の古豪エアロヴェロシティ(せん8歳)が好位差しの正攻法で、追い込む1番人気ラッキーバブルス(せん5歳)以下を完封した。香港マイルは、復活を期待されるエイブルフレンド(せん7歳)が1番人気に推されるも末脚不発で6着に敗れ、4番人気ビューティーオンリー(せん5歳)が直線で鋭い伸びを見せて勝った。

 ここまで1番人気が3連敗。香港カップは昨年の勝ち馬エイシンヒカリ(牡5歳)を抑えて、モーリスが1番人気に推されたが、この呪縛を打ち破れるのか。

 モーリスは今年の4競走の中で絶対の信頼を集めていた。それもそのはず、昨年の香港マイルを圧勝し、続くチャンピオンズマイルも勝って香港GIを連勝している。さらにこの秋には天皇賞・秋も制覇して距離にもめどを立てた。

 何より、状態面が過去2回の香港遠征より良好で、レース前週の月曜日から意欲的に馬場に入って長めの調教をこなしていた。調教時から激しく発汗し、さらに少し疲れているような仕草を見せていた昨年の香港マイル遠征時と比べて雲泥の差だ。

 しかし今年のレースは、ゲートが開いて、ファンはいきなり絶望的なシーンを目にする。モーリスが大きく立ち遅れたのだ。この日の1番人気はやはり運がないのか。それでも慌てることなく、鞍上のライアン・ムーア騎手は馬群にモーリスを収め、後方から数えて3番手あたりを追走する。

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