「2強で堅い」菊花賞。3連単のヒモ穴なら、堀厩舎のウムブルフ (2ページ目)

 昔から、皐月賞は「最も速い馬」、日本ダービーは「最も運のある馬」、そして菊花賞は「最も強い馬」が「勝つ」と言われています。速い馬はディーマジェスティ、運のある馬はマカヒキといった印象で、強い馬というイメージがあるのはサトノダイヤモンド。最後の一冠は、同馬が手にするのではないでしょうか。

 強い馬が強い競馬をして勝つ。とすると、馬券的には大きな配当は望めませんが、これも競馬の醍醐味だと思います。競馬はギャンブルでもあるので、馬券で「大きく儲けたい」という気持ちは誰もが持っているでしょうが、強い馬に賭けて、強い競馬で勝ってくれれば、たとえ配当は大きくなくても、大儲けしたときと同じぐらいの喜びを得られると思いますよ。

 さて、「2強」に続く"第3の存在"はかなりの混戦です。トライアルを見る限りでは、神戸新聞杯2着のミッキーロケット(牡3歳)、3着のレッドエルディスト(牡3歳)らが、その候補となりそうです。特にレッドエルディストは、まだ仕上がり途上で、明らかに叩き台というレースぶりでした。本番で変わってくる要素は、多分にあると思います。

春先とは違って、ひと皮むけた感があるウムブルフ春先とは違って、ひと皮むけた感があるウムブルフ ただ、未知な魅力という点から、僕はトライアル組ではない路線から参戦するウムブルフ(牡3歳)が気になります。この馬を今回の「ヒモ穴馬」に取り上げたいと思います。

 聞けば、もともとデビュー当時から期待が高かった素質馬だったそうですが、春先はまだ、気性的な面も、肉体的な面も、若さばかりが目立って、順調にクラシックロードに乗ることができませんでした。しかし、日本ダービーが開催された週の前日の土曜日、ダービーと同じ舞台(東京・芝2400m)で行なわれた500万条件を完勝。そこでダービーに出走できなかった鬱憤を晴らすと、およそ3カ月間の休みを挟んで臨んだ8月の1000万条件(札幌・芝2600m)も、2着に5馬身差をつける圧勝劇を演じました。

 その1000万条件のレースは、相手に恵まれた感があり、また馬場が悪かったこともあって、勝ち時計も際立ったものではありませんでした。そういう意味では、なかなか高い評価はしづらいのですが、タフな馬場での長距離戦で、終(しま)いまで脚が上がらずに伸び切ったことは、十分に評価していいと思っています。完全にひと皮むけた印象でしたね。

 今回は、そのレース以来のぶっつけです。これがまた、食指を動かされるところです。何と言っても、同馬を管理するのは堀宣行厩舎ですからね。休み明けでも、狙ったレースにはきっちり仕上げてきます。馬券的にも面白い存在だと思います。

 この馬も「2強」と同じくディープ産駒。「2強」を脅(おびや)かすまでに至るかどうかはわかりませんが、注目したい1頭です。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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