大荒れムードの秋華賞。特注は地力あるレッドアヴァンセ (2ページ目)

 それでもひとつ思うのは、前走はいかにも本番のコースを意識した、ある程度前に出していって、好位からの競馬を試みていたこと。その結果、まったく見せ場なく終わったことで、今度は腹をくくって、後方から折り合いをつけて脚をためる競馬をするのではないでしょうか。

 秋華賞というレースは、意外と直線一気で決まることもありますからね。巻き返してくる可能性はありそうです。ただ、そういう競馬だと、明らかに展開に左右されます。どの程度人気するかにもよりますが、上位人気に推されるようだと、中心視するのは少し怖いですね。

 このジュエラーと同様、前走で京都・芝内回りの本番を意識した競馬をし、そのうえで結果を出した馬がいます。紫苑S(9月10日/中山・芝2000m)を勝ったビッシュ(牝3歳)です。

 紫苑Sでビッシュは、外枠だったこともあって、ゆっくりと出ていきましたが、向こう正面の中ほどを迎えると、中段よりやや後方の位置取りから、外目に出して前との差を詰めていきました。4コーナーを回る頃にはほぼ全体をまくり切って、それでいて直線ではさらに後続を突き離していったのです。

 秋華賞を想定した試走に徹しながら、2着に2馬身半差をつける快勝。最高の結果を出して、本番に向けて一層の自信を深めたのではないでしょうか。

 そもそもオークスでも、自ら動いて差のない3着。GI級の力を示していました。今回は、大いにチャンスがあるでしょう。

 唯一の懸念材料は、初めての関西圏での競馬。長距離輸送や、前日からの競馬場での滞在(※中山や東京は当日輸送のため、競馬場に一泊することはない)が強いられます。比較的小柄な牝馬ゆえ、課題となることは間違いないでしょう。当日の馬体重と気配には要注意です。

 例年、秋華賞では紫苑S組の好走は極めて少ないのですが、今年は重賞に格上げされたことで、メンバーのレベルは格段に上がっていました。勝ったビッシュに限らず、2着に入ったヴィブロス(牝3歳)にも注目が必要でしょう。

 紫苑Sでは、ビッシュにこそ差をつけられましたが、勝負どころで前に追突してしまう致命的な不利がありました。それを考えれば、ビッシュとの勝負づけもまだ済んでいないと言えます。しかも、今度は"ホーム"となる関西圏での競馬と、アドバンテージがあります。

 ヴィルシーナの全妹で、ポテンシャルはGI級。この馬もまた、十分にチャンスがある1頭だと思います。

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