前走不安もデータが後押し! 秋華賞は桜花賞馬ジュエラーが巻き返す (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu  村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki


 ただ、1週前追いも、春は中身の濃い1週前追い切りを見せていたのに対し、今回は0秒1先着したとはいえ、格下のワントゥワンに手応えで劣勢。ちょっと不満が残る内容でした」

 と、ここまで吉田氏の見解を聞くと、ジュエラーは危険な人気馬にも見えてくる。しかし、データでは意外にも有利なものが多い。

 まず、秋華賞が始まった96年以来、桜花賞馬は15頭が出走しており、成績は[6-2-1-6]というものだ。勝率は4割。しかも、3着の1回はブエナビスタの2着からの降着によるもので、実質の連対率は6割にもなる。また、このうちジュエラーと同じようにオークスに出走しなかった桜花賞馬は2頭いて、1勝2着1回と連対率は100%だ。しかも前走で二桁着順の大敗を喫した馬でも96年のファビラスラフイン、08年のブラックエンブレムの2頭が本番を制している。2頭はいずれも3歳春シーズンに重賞を勝っていたという点も共通している。

 さらに吉田氏が付け加える。

「追い切りの動きこそ不満ですが、秋初戦のローズSに比べると明らかに馬体の締まりは出てきた。一度使ったことで、この馬らしい鋭い目つきに変わり、闘争本能がよみがえってきた可能性は十分あります。また、慣れない馬込みでの競馬を前哨戦で試すことができました。これで戦い方が明確になったはず。前哨戦は敗れても意義があったと言っていいはずです」

 ジュエラーを管理する藤岡健一厩舎は、スプリンターズSで管理馬のビッグアーサーが断トツの1番人気を裏切ったばかり。ここで捲土重来を期したい。

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