秋華賞の「主役」ビッシュ。華奢なヒロインの伝説が今、始まる

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 三浦晃一●撮影 photo by Miura Koichi

 牝馬三冠の最終戦となる、GI秋華賞(10月16日/京都・芝2000m)。ここにきて、ひと際注目を集めているのは、ビッシュ(牝3歳)だ。同じ世代の中ではかなり遅くにデビューしたものの、そこから着実にステップアップ。目前に迫ったこの大舞台では、いよいよタイトルを狙える位置にまできた。

秋華賞でタイトル奪取を狙うビッシュ秋華賞でタイトル奪取を狙うビッシュ 牝馬クラシック第2弾のGIオークス(5月22日/東京・芝2400m)では、早めに動く積極的なレースで3着。夏の休養を挟んで臨んだ秋華賞トライアルのGIII紫苑S(9月10日/中山・芝2000m)では、大外枠スタートから豪快にまくって、2着に2馬身半差をつける完勝を決めた。近走の充実ぶりを見れば、文句なしの有力候補である。

 しかも、最大のライバルで、秋華賞の最有力候補と目されていたオークス馬、シンハライトが出走を回避。戴冠の可能性はますます高まったと言える。

 一躍、秋華賞の"主役"に躍り出たビッシュ。デビューしたのは、3歳となった今年の2月だった。ほとんどの馬が2歳で初陣を迎える中、彼女のキャリアの始まりがここまで遅くなったのは、どんな理由があったのだろうか。

 デビュー前の調整や、レースの間の短期放牧にビッシュが訪れるノーザンファーム天栄(福島県)。場長を務める木實谷(きみや)雄太氏は、デビューまでの道のりについてこう振り返る。

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