マカヒキ負けた。名門の見事なチーム戦を見せつけられた凱旋門賞 (4ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu


 ゴール後、オーダーオブセントジョージのデットーリ騎手は、ファウンドのライアン・ムーア騎手に馬上で熱烈なキス。まさに会心の"チームの勝利"だったといえよう。

「It's unbelievable(信じられない)。」

 クールモアのメイン調教師エイダン・オブライエン師は、レース後の共同会見でいつものように冷静に、しかし熱のこもった言葉を発した。

「言葉にできない。こんなことがあると思いますか? 世界で最も難しいレースを上位3着まで独占できるなんて、これ以上のことがあるでしょうか。ライアン(・ムーア騎手)が彼女(ファウンド)にもたらした素晴らしい騎乗、チームの努力の賜物、そして3頭の父であるガリレオがもたらしたものです」

 一方、日本から挑戦し、現地でもポストポンドと人気を分け合ったマカヒキは、道中は3列目の外側を追走し、4コーナーから直線入り口にかけても、前に接近する様子を見せたが、その後はずるずると後退して14着と大惨敗を喫した。もちろん、もう脚が残されていない時点で鞍上も無理に追うことをやめてのものだが、それにしても期待が過剰だったのかと思うほどの負け方だった。

「いつもより折り合いを欠いていた。ちょっとわからない」

 眉をひそめながら、クリストフ・ルメール騎手は言葉少なめに振り返った。前日はイギリスで騎乗、この日も凱旋門賞ひと鞍に専念だった。集中するためだったのかもしれないが、結果から考えれば、今日の馬場は経験しておいたほうがよかったのかもしれない。ムーア騎手はこの日、凱旋門賞の前に2鞍騎乗していた。

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