マカヒキ負けた。名門の見事なチーム戦を見せつけられた凱旋門賞 (2ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu


 また、シャンティイの2400mは右回りであるが、コースの形状がやや特殊で、スタートしてすぐに左に反るようにカーブを切る。外枠が不利と言われるシャンティイでも、立ち回り次第で外枠の馬がスルスルと内に潜り込むことができる。

 さらに、馬場は先行有利の高速馬場。前日から「緩い」という関係者のコメントが聞こえていたが、馬場状態を表すペネトレメーターの数値は3.0。これは緩いどころか、むしろ硬い部類だ。それを如実に表すかのように、前半に組まれたふたつの2歳マイルGIでは、それぞれ1分35秒台の決着と、フランスの馬場を考えれば相当に速いものとなっていた。しかも、前日から前に行った馬が最後まで粘り、中段から後方でレースを進めた人気馬は、ことごとく人気を裏切っていた。シャンティイはむしろロンシャンよりも「乾きにくい」馬場だ。それでいてのこの状況なのだから、いかに馬場を読み切ることができるかが、レースの命運を握ったといっても過言ではない。

 これに見事に対応しきったのが今回上位を独占したクールモアの3頭で、ハイランドリール11番枠、ファウンド12番枠、オーダーオブセントジョージは大外16番枠と、枠順だけ見れば悲観的にもなりそうなところを、3頭の人馬がそれぞれに、それぞれの役割を完璧に果たしながら、最高の結果を導き出した。

 まずはそれぞれのスタートだ。発走してすぐ、コースを外側に向かうところで、オーダーオブセントジョージがすぐ内のレフトハンドとマカヒキに接触。そこで、鞍上のフランキー・デットーリ騎手は馬群から外に離れた場所に馬を誘導した。接触したことで気の立った馬がここで馬群に取り付いていくと、折り合いを欠くことに繋がりやすい。馬群から離すことで、まずは落ち着かせたのである。

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