凱旋門賞制覇に着々。マカヒキは調教もレースまでの過程も順調 (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu photo by PanoramiC/AFLO


 この動きにルメール騎手、司令官である友道康夫調教師ともに大きな手応えを感じたようだ。追い切り翌日は滞在する小林智(さとし)厩舎内にある馬場で1時間の引き運動を行ない、友道調教師はその様子に目を細めた。

「朝日に馬体も輝いて最高にいい感じに仕上がったと思います。秋は、この後は何も考えていません。ダービー以上に仕上げたつもりです」

 ニエル賞で落鉄した右後蹄も問題ないという。

「蹄にはまったく影響がなかったし、傷んでもいないです」

 さらに29日(木)はラモルレー調教場のダートコースで軽めのキャンターを行ない、コンディションの調整に終始した。ここに至る調整過程で、何ひとつ不安な要素は伝わってこない。

 それ以上に友道調教師の言葉から伝わってくるのが、十分すぎるほどに落ち着いたマカヒキの様子である。

 走る馬というのは爆発力もある分、それが気性面で表裏一体のケースも少なくない。たとえばオルフェーヴルも、最大の敵はオルフェーヴル自身と言われ、最初の凱旋門賞挑戦時は帯同馬アヴェンティーノもレースに出走させることで万全を期したほどだった。

 しかし、マカヒキにはその懸念がまったくないという。日本ダービー勝利後、友道調教師の談話で印象に残っているのが、「あの馬、気がつくと馬房でいつも寝ているんですよね(笑)。こちらはダービーの前だ、と力が入っていてもまったくお構いなしで」というエピソードだ。フランスでも同じようにマイペースを崩さないことが、現在の順調さに繋がっているのだろう。

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