凱旋門賞制覇に着々。マカヒキは調教もレースまでの過程も順調 (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu photo by PanoramiC/AFLO


 また、セレクトセールで2億円超という高額で取引されたサトノダイヤモンドは、管理する池江泰寿調教師がオルフェーヴルで二度の2着があるだけに、こちらにとっても"悲願"であった。しかし、この2頭はともにこの秋は国内に専念。唯一、残ったのがダービー馬マカヒキだった。

 マカヒキは凱旋門賞で3着入線(のちに失格)となったディープインパクトを父に持ち、そのディープインパクトと同じ金子真人氏(名義は金子真人ホールディングス)がオーナーである。ディープインパクトでは牡馬三冠、アパパネで牝馬三冠を成し遂げ、ともに現役時代に所有していた両親(母ウィキウィキ)が産んだマカヒキが、自身にダービー3勝目をもたらした。金子氏にとって、もはや日本競馬ではやり残したことがなく、並ぶ者もいない無双状態ともいえる。一方で、意外にも海外のビッグレースはユートピアがドバイでGIIゴドルフィンマイルを勝ったのが最高で、前述の凱旋門賞や、トゥザヴィクトリーでのドバイワールドカップ2着など、あと一歩届いていない。日本で唯一の牡牝三冠馬オーナー金子氏としても、今回で"悲願"を成就させたいはずだ。

 マカヒキは日本ダービー勝利後、福島県のノーザンファーム天栄で休養。7月半ばにトレセンに戻されて、これまで凱旋門賞で好走してきた大半の日本調教馬がそうしてきたように、前哨戦をステップに本番へと向かうプランが組まれた。8月後半にフランスへ渡り、主要前哨戦3競走のひとつである3歳GIIニエル賞に出走。5頭立ての少頭数で、超スローペース、さらにレース中に落鉄していたこともあって、僅差の勝利であった。しかし本番のコースで、陣営のイメージどおりの競馬を実践でき、なおかつ余力を残して勝利するという最高の形で、前哨戦をクリアできた。

 その後もフランス、シャンティイに残って順調に調整が続けられ、レース5日前の27日(火)にはシャンティイのエーグル調教場の右回り芝周回コースで最終追い切りが行なわれた。マカヒキには本番でも手綱を取るクリストフ・ルメール騎手が騎乗。2013、14年にトレヴとのコンビで日本調教馬の前に立ちはだかったティエリ・ジャルネ騎手が帯同馬であるマイフリヴァに跨り、このマイフリヴァをマカヒキが4馬身追いかける形でスタート。実戦を想定して末脚を伸ばすと、最後はマイフリヴァを1馬身半~2馬身突き放してフィニッシュした。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る